2009年11月18日水曜日

特別寄稿 内閣総理大臣杯第97回職域団体対抗将棋大会S級決勝戦 清水上 徹-山田 洋次戦 by 清水上 徹

11月4日に既報の通り、11月3日東京都渋谷区・東京体育館で内閣総理大臣杯第97回職域団体対抗将棋大会が開催され、最上位のクラスS級ではNEC(1)が2大会ぶり8度目の優勝を成し遂げました。


ここでは、S級決勝戦で最後まで残り優勝の行方を決めた清水上 徹対山田 洋次戦を清水上 徹さんのコメントと共にお届けしたいと思います。


清水上 徹さんを簡単に紹介しますと、現朝日アマ将棋名人で、小学校、中学校、高校、大学、社会人と全ての年代でタイトルを獲得、特にアマチュア将棋の4つのビッグタイトル(アマ王将、アマ竜王、全日本名人、朝日アマ名人)を全て獲得したのは史上初です。最近では、北千住子供将棋教室で講師をされ将棋の普及にも貢献していらっしゃいます。教室の場所が松戸チェスクラブの大会で利用する東京芸術センターとは驚きました、奇遇でしょうか。


対局日:2009/11/03
先手:清水上 徹 NEC(1)
後手:山田 洋次 リコー(1)

初手は、▲5六歩、先手の中飛車から相振り飛車になります。
41手までの棋譜は省略させて頂きます。


42 △1三桂(下図)

091103_職団戦_清水上さん対山田さん_01

大竹:この手を見てチャンス到来と思ったのではないでしょうか。激指は この手の代わりに6四歩を第一候補に挙げています。

清水上:13桂は一番嫌な手でした。このまま動かないと一方 的に攻められるので動きましたが、うまくいきませんでし た。64歩のような手だと、75角から6筋の歩を突いてい って、攻める展開になるので、楽な展開になりそうです。

43 ▲5四歩△同歩▲4五銀△5五銀▲5七角△4六歩
▲同歩△2五桂▲8五桂(下図)

091103_職団戦_清水上さん対山田さん_02

大竹:この手に代えて2六歩はありませんか?

清水上:26歩は17桂成から攻められ、香を手に入れられた 時、56香と打たれるのが厳しく、その後77桂も取られそ うだったので、先に逃げた意味があります。が、少し指し 方が雑ですね。こうなるんだったら、前図で動かないほう がマシでした。

52 △6四銀▲6六角△同角
▲同歩△4七歩(下図)


091103_職団戦_清水上さん対山田さん_03

大竹:この手を指された時の心境は? また、この手に代えて8四歩と指されたらどうしましたか?

清水上:47歩は一番嫌な手で、穴熊を直接攻められるのは嫌な展開です。84歩は、33角~25銀~11角成と桂、香を手に入れながら自陣を安全にでき、かつ85歩と取られても84にキズができるので、指しづらいと思います。

▲同金直△4九角▲4八飛△7六角成(下図)

091103_職団戦_清水上さん対山田さん_04

大竹:この局面は後手が有利かと思いますが如何ですか?

清水上:76角成では、38角成~17桂成と攻められて全然ダメだと思っていました。76角成でもこちらが悪いと思いますが、長い戦いになるのは、気分的には楽な展開です。


61 ▲3三角△2一飛▲6五歩△5三銀▲8六歩△4四歩
▲3四銀△8六馬(下図)

091103_職団戦_清水上さん対山田さん_05

大竹:この手に代え4二金もあるかと思いますがどちらが厭でしたか

清水上:42金の方が嫌でしたが、以下同角成同銀32金24飛25銀同飛42金でしょうけど、後手も玉が薄くなるので、指しにくいでしょう。

69 ▲7三桂成△同玉▲2五銀△4二金
▲2四角成△3三桂▲2六歩△2五桂▲同馬△3三金
▲5七金△7六歩▲7八歩△5九馬▲4七飛(下図)

091103_職団戦_清水上さん対山田さん_06

大竹:この瞬間2五の馬の逃げ場が閉ざされました。84.3四銀と指されると苦しいと思いますがどうですか?

清水上:ご指摘の通りで、34銀だと少し悪そうです。以下同馬同金85桂72玉74桂と攻めますが、少し攻めが細い感じです。

84 △5五歩▲3五馬△5四銀(下図)

091103_職団戦_清水上さん対山田さん_07

大竹:この局面では先手が面白くなったと思いますが如何ですか?

清水上:その通りです。55歩~54銀は2手の意味が薄い(と言うか悪い方向)ので、ここでこちらが指しやすくなったと思います。

87 ▲6六金△5八馬▲3六馬△4五歩(下図)

091103_職団戦_清水上さん対山田さん_08

大竹:この手は手筋かも知れませんが、この手に代えて4七馬の方が厭では無かったかと思いますが如何ですか?

清水上:47馬の方が嫌でした。ただ、同馬の形も攻守に利いているので、後手も指しにくいと思います。

91 ▲8七飛(下図)

091103_職団戦_清水上さん対山田さん_09

大竹:この手を指せて気持ちが楽になったと思いますが如何ですか?

清水上:87飛はこちらの馬も消えてしまうので、指しづらい一手でした。ただ、攻めを見せないと勝てないと思ったので、決心して交換を挑みました。結果的にはここで相手がひるんで68馬だったので、形勢がはっきりしたと思います。

92 △6八馬▲7五桂△8二銀▲6四歩(下図)

091103_職団戦_清水上さん対山田さん_10

大竹:手筋で良い手だと思いますが、この手に代えて9五桂のような手は重い手ですか?

清水上:95桂も考えましたが、84歩でスカってしまうのを気にしました。また桂はもっと違うところに使った方がいいと思ったので。

96 △同歩▲4七馬△5六銀▲同金△同歩▲同馬△6五金(下図)

091103_職団戦_清水上さん対山田さん_11

大竹:次の6六桂が決め手だったような気がします。ここでは勝ちを意識しましたか?

清水上:ここでははっきり勝ちを意識しました。自玉が安全になりましたので。

103 ▲6六桂△6三銀▲同桂成△同金▲4五馬△6六金(下図)

091103_職団戦_清水上さん対山田さん_12

大竹:次の5四銀のような手はすぐ浮かぶのでしょうか?

清水上:7五銀、5二銀、5四銀の組み合わせだと思ってましたが、5四銀が取れないので、一番いいと思いました。

109 ▲5四銀△7一桂▲7五銀△6五金▲同銀△同歩(下図)

091103_職団戦_清水上さん対山田さん_13

大竹:全体を通して勝ちを意識したのはどのあたりですか?

清水上:前にも書きましたが、6八馬と逃げてくれて、7五桂から攻めれたあたりで優勢に、6六桂で勝勢になったと思いました。

115 ▲6四歩△5三金▲7二金まで先手の勝ち(下図)

091103_職団戦_清水上さん対山田さん_14

0 件のコメント:

コメントを投稿