その代わりと言っては何ですが、22年前の東京オープンからショートゲームを紹介したいと思います。
私の白で、黒は第22回(1968年)全日本アマチュア将棋名人になられた関則可さんです。2002年にフランスのグランドマスターのLautierが来日して同時対局を行った時、関さんも参加されていたのを覚えています。
Bill WallのGrob’s Attackが出版されたのは翌年の1988年ですので、私自身まだこのオープニングは知りませんでした。このころは白番では、1.e4ばかり指していました。
□Ohtake Sakae(1803)
■Seki Noriyoshi(UR)
東京オープン 1987.10.10(2R)
B71:Sicilian Dragon, Levenfish Variation
1.e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 5. Nc3 g6 6. f4(Diagram_1)
Diagram_1
6.f4はSicilian DragonのLevenfish Variationと呼ばれています。一番多い変化は、6. Be3でこのあと6… Bg7 7. f3 O-O 8. Qd2 Nc6 9. O-O-O d5 10. exd5 Nxd5 11. Nxc6 bxc6(Analysis_1)となる手順が多く指されています。
Analysis_1
g7のビショップがよく効いているので実戦では12.Bd4と指す場合が多く、以下12... Bxd4 13. Qxd4 Qb6 14.Na4 Qc7 のような変化になり局面は互角と思われます。12.Nxd5と指すと白の1ポーンアップになって優勢になるのではないかと考えそうですが12…cxd5 13. Qxd5 Qc7!でいい勝負だと思います。
このあと過去の実戦では、14.Qc5が一番多く、白の勝率は47%。14.Qxa8の白の勝率は25%です。14.Qxa8でも最善で指せば互角と思われますが、14.Qc5の方が良さそうです。このあと14. Qc5 Qb7 15. b3 Bf5 16. Bd3 Rac8 17. Qa5 Rc3 18. Bxf5 Rxe3 19. Be4 Qb8 20.g3 Qc8 21. g4 Qb8 22. Kb1 Qf4(Analysis_2)となり形勢は互角に近いと思います。
Analysis_2
実戦に戻りましょう。6.f4のあと最も指されているのは6…Nc6で白の勝率は50%、実戦で指された6…Bg7は2番目に多く指されている手で白の勝率は70%です。但し6…Bg7が良くない手というよりは、そのあとの手順に問題があった為に勝率に差ができたものと思います。
6... Bg7 7. e5 dxe5 8. fxe5 Ng4 9. Bb5+ Kf8?? (Diagram_2)
Diagram_2
黒は、9…Nc6とするべきで、この手しかありませんでした。9…Nc6 10.Nxc6 bxc6 11.Bxc6を気にされたのかもしれませんが、10…Qxd1 11.Nxd1 a6で問題ありません。白は優勢ですが、簡単には勝てないでしょう。以下の手で投了されました。
10. Ne6+!! 1-0
Chessbaseで局面検索すると10.Ne6としたゲームが56局あり、流石に白の勝率100%です。
2 件のコメント:
始めまして、こんにちは!私は北の果てでほそぼそとチェスをやっている大学生です。
大変興味深いブログタイトルだったので、覗いただけで満足せずコメントまで書いてしまいました…。実は、私もSokolsky openingを愛用しているマイノリティーなもので、このブログを見たときにとても興奮してしまいました笑
Grob's Attackにも非常に興味があるので、ぜひ時間があれば棋譜紹介やGrob's Attackの連載をしていただけると幸いです。
これからもブログ拝見させていただきますので、以後よろしくお願いします。
cheslさん
書き込み有難うございます。
私自身も1.g4のゲームを早く取り上げたいと思っておりますので、もう暫くお待ち頂ければと思います。ここ1~2年の公式戦はほとんど1.g4ですので題材はあります。良いオープニングとは思っておりませんが、それなりに勝つと中々止められないでおります。1.b4もやってみたいと思い本も2冊購入しましたが、余裕がありません。
今後ともご笑覧頂ければ幸いです。
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